暴力的な囲いの中で
君はいつも泰然自若としていた
涼やかな瞳と
見上げるような背丈を
当たり前のように人々の前に現し
君は一言も喋らないのに
一切を制していた
僕とは正反対の白い顔に
なんの表情も見せず
静かに君は僕のそばへ座り込んだ
囲いの中の小さな社会に
その日も星々は炯々と
僕らを見つめ続けていたが
かたくなな僕の心を
君は溶かしてしまった
人種が違うとか
生まれが違うとか
そんなちっぽけなことは
夜空に輝く星の
永遠に流れゆく歴史に埋もれて
はるかな過去へ
追いやられてしまうだろう
まるで人の生きざまを
笑うかのように───
それでも確かに僕らは
今この瞬間必死に生きてるんだ
伸たまき著/「星の歴史」に捧ぐ
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Copyright(C)Tomo Siraki

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