ノナビアス・サーガより



夢を見た
果てしなく広がる
草原にたった一人

さかまく風に
髪をなぶられながら
何処までも続く
黄金色の草原に
佇んでいた

此処には
誰もいない
私しかいないと悟った時
物凄い落莫さに囚われた

思わず叫ぶ
だが声は出ずに
涙が溢れた
後から後から
流れ落ち
人々の死を悲しんだ

そんな私の耳に
何かが聞こえた
振り返ると
其処は海だった
青空を映して
完璧なまでの煌めきを
見せていた
だけど生命の片鱗も
感じられない

空も海も大地も
こんなに美しいのに
この惑星には
誰もいないのだ

遙か未来なのか
悠久の過去なのか
私の目に映し出されたものは
必ず起こりうる眺望なのだ
その事に誰も気づかない
その事が私に涙させる
此処は皆を待っているというのに


閉鎖になっています

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