空に
青いオレンジを
放り投げる
受け止める
放り投げる
そして────
それは
手をすり抜けて
ゆっくりと
落ちていった
地面へと
振り向いた
私の目に映る
ガラスで出来た
まあるい地球
粉々に砕け散った
青いオレンジは
土の上で
潰れていた
わざと落とした
私は
嫌いだったから
どうして嫌いなのか
わからない
オレンジを食べる人も
オレンジを好きな人も
大嫌い
もう一つ
新しいオレンジが生まれた
私はまたそれを放った
私は
誰かにそれを見てもらいたい
誰かにそれを認めてもらいたい
そうやって何時までも
それこそ永遠に
放り続けるのだろう
この時の止まった世界で
【1997/12/7日本海新聞掲載】
