「聖堂」by


深遠の底で
ただ夢を見続ける
母なる地球よ
我らの故郷(ふるさと)よ
お前の姿は
もうどこにもない
滅びの道を歩んだ君よ

惑星は爆発をして消え去り
太陽も消滅をした────

永遠に絶えることのない
やさしい夢の中で
お前はこれからも
夢魔に取り込まれたまま
眠り続けるのだろう

栄華を極めた文明と
愚かな人類の
芳しい香りをつめこんだ
開けられることのない
柩のなかで

覚めることのない眠り
死よりも深い眠りを
次元の彼方の
神聖な場所で
微笑みを浮かべながら
眠り続けるのだろう

【1998/6/7日本海新聞掲載】