月
世界中が青く染まっていた
玲瓏と輝くその月が
見つめる瞳を
窓から見える風景を
何もかも冴え冴えと
青く染めていた
まるで、今ここにある物全てが
たゆたう海の底にあるようだ
満月のその光を浴びながら
そしてその光を見つめながら
真実、願うならば
必ず叶うと誰かが言っていた
叶うならば
叶えられるならば
どんなによいだろう
たった一つ
ほんの小さな願い事
一言の優しい言葉を
かけてもらえたら────
手を合わせてみる
目を閉じてみる
神様に祈るように
この小さな砦から
一心不乱に祈り続けている
青く冷たく輝く月に向かって