こおりをかむ女がいた
砕いたこおりが大好きで
いつもがりがり音をたてていた
細いからだの女だった
美人でかわいい女だった
そしていつも愛に飢えて
かなしい瞳を世間に向けていた
友達を失い絶望の果て
世間から姿を消した
愛しい君よ
こおりをかみながら笑う
その女が好きだった
無邪気な笑顔が好きだった
こことは違うどこか別の場所で
おんなは今でも
こおりをかんでいるだろうか
しあわせに生きてるだろうか
愛しい君よ…
【1999/5/23日本海新聞掲載】