ひとりの男が天に召された
古傷をかかえて生きてきた
百戦錬磨の戦士だった
たったひとり生き残り
男は己を責めながら
口を閉ざして生きてきた
物言わぬ冷たい肌をもつ動物を
たったひとりの友と決め
孤独に囲いを巡らせて
静かに時を過ごしてきたのだ
男がこの世界からいなくなった時
いったい誰が気づいたろう
男の心を誰が理解してやれたろう
ただ残されたトカゲだけが
何もかもわかったような目で
冷たくこの世界を見つめてる
彼の目よりも冷たい
この蒼い世界を