暗い空から音もなく
はらりはらりと降ってくる
まるで天上からの贈り物
冷たく優しく
私の心に降り積もる
手を伸ばし
触れてしまえば消えていく
儚く溶けて何も残らない
それはまるで 
叶うことのない夢物語───

この白い世界に
私とお前は確かにいた
無音のなかで静かに歩きつづけた
どこまでもいつまでも
果ての果てまで
歩きつづけたのだ

お前は私をどこへ
連れていこうとしていたのだろう
今となってはすべて過去のこと
遠い昔の時間の波に
飲み込まれて散ってしまった
記憶の残骸のなか

黒猫リリーよ
私たちの心は
確かにつながっていた
世界中の誰よりも───
時が止まってしまった
あの静かな世界で
互いに真っ白になったまま
寒さにふるえながら───












「White night」 by Clafoutis