やさしい微風が
吹いている
身にしみる
冷たい冬が
もう目の前まで
来てるのに
やさしい微風が
吹いている
わたしの頬に
わたしの耳に
そっと触れて
通りすぎていく
寒々とした
風景が広がる
荒れ果てた
この場所で
ふと目を閉じる
暗闇のなかに
くすんだ色の
草原が見えても
私は
入っていける
心と心を
通わせる
そんなことの
できる世界に
やさしい微風の
たくさんつまった
こことは違う
世界に
やさしい微風が
吹いてくる
さらさらと
かすかな
音をたてて
風のロンドが
わたしに届く
それはまるで
誰かの
プレゼントのように
吹いてくる
【1999/1/10日
本海新聞掲載】